自意識が過剰なゆえか、普段から恥ずかしい思いをすることばかりで、恥の多い生涯を送ってきました状態なんですけど、過去の自分の至らなさによる失敗、恥ずかしかった思い出などが日常的に頭をよぎり、「あ゛あ゛ぁぁっ！」と呻いたり、しかめっ面で首を振ったり、いきなり息を大きく吸い込んだりして、妻に「え、どうしたの？大丈夫？」なんて言われてしまったりして、たびたび迷惑をかけております。
このようなことは多かれ少なかれ誰にでもあることだと思うんですけど、ほら、「枕に顔をうずめて足をバタバタ」なんて表現をされたりもしますよね。
ただ、ぼくの場合はこれの数が多すぎてどうしたものかと。
もう誰も覚えていないであろうにもかかわらず、掘り起こしては死にたくなる。
それが反省となり、二度と同じ失敗をしないよう意識する、などという働きもなさそうなんですよね。
何なんでしょう勘弁して下さい。
これの解消法として、このブログにそういった「嫌な思い出」を書き散らして、人目にさらして笑ってもらえたら、もうひとりで恥ずかしがることなく、てへへな失敗談・黒歴史ってことで昇華させてしまえるのではないかと思ったんです。
ここに書いたことはもう、「あ゛あ゛ぁぁっ！」とならないようにと心がけつつ鎮魂の意味を込めて。
それでは一発目行ってみます。
汚部屋
ぼくが学生時代に住んでいたマンションでのことなんですが、そのころぼくの部屋は物があふれていて片付けも全然されていない、所謂汚部屋でした。
ある日、ぼくが部屋にいるとき突然ドアチャイムが鳴りました。
人を極度に恐れていたころでもあったので、心臓をバクバクさせながら、どうせ出ても新聞の勧誘か何かでろくなことはないだろうしと、息をひそめて居留守を決め込んでいました。
すると、外から声がします。どうやら、大家さんのようです。
何度かチャイムが鳴り、次には電話が鳴るじゃないですか。
ドアの向こう側に声が聞こえないようにトーンを抑えつつ電話に出ました。
「もしもし、ぼくさんですか？」
「はい」
「今ご不在ですか？」
「はい、出かけてしまっています。」
「今ですね、マンションの一階で水漏れがあったという問い合わせがありまして、部屋の中を調べさせてもらいたいんですよ。」
「あ、でも今家にいないので……。」
「緊急を要しているので、合鍵で入らせていただきたいんですが。」
「多分うちじゃないと思うんですよね……。」
「申し訳ないんですけど、それを確認させていただきたいんですよ。」
「……わかりました。」
人に見せられないすさまじい散らかり具合の部屋を、大家さんに見せなくてはいけない状況になってしまいました！
しかも、居留守していた上に、不在であると嘘をついてしまった！
今のぼくなら、苦し紛れでも「アハハ、汚い部屋を見られたくなかったもので嘘ついちゃいましたすみません」とか言ってごまかしそうなものですけど、当時のぼくはもう隠れるしかありません。
電気を消してクローゼットに隠れましたが、クローゼットの中はたたんでいない衣類でごちゃごちゃで完全にはしまっていません。
玄関からガチャっと鍵が開ける音が響いてきます。
心臓はますますバクバク。
パチッと電気をつける音。
呼吸音が聞こえたらまずいとできるだけ息をひそめている状態。心臓がバクバク言っているものですから、息苦しいのなんのって。
「うわっ！きったね！」
温厚な大家さんがそう言い放ちました。
そうして、水漏れを確認しているようでしたが、そのうちぼくのいるクローゼットをあけました。
目が合う、ぼくと大家さん。
「ああ、いたんですか。水漏れはないようでしたので。それでは失礼します。」
不審なものを見た大家さんはそそくさと帰っていきました。
大家さん、この状況でぼくを見て何を思ったでしょう。
この一件から退去するまで大家さんに会うことはありませんでしたし、退去のときは綺麗に掃除して返しましたので、何も言われませんでしたが。
以上です。
これを白昼夢に見ては「あ゛あ゛ぁぁっ！」していたわけですが、というか、これをかきながらも「あ゛あ゛ぁぁっ！」しているんですが、もう安らかにお眠りください。