森美術館の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を観てきました(その2)

先日、森美術館の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を観てきました。

前回より展示物のいくつか紹介をしています。

森美術館で開催中の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を観てきました。 レアンドロ・エルリッヒとは誰なのかというと...

教室

ぞっとしますね。
荒廃した教室を展示してあるのですが、おわかりでしょうか、
よく見ると何人か亡霊がいるんです。

えらい男前の亡霊がこちらに向けてスマートフォンを構えているのです。
写真を撮ろうとしているようです。亡霊にとってもこちらの様子が珍しいのでしょうか。
奥の黒板に立っている女性の亡霊はシャイっぽい顔をしていたのでモザイクを掛けてあげました。

どうやら、手前の部屋の様子がガラスに反射して亡霊のように見えているようです。
こちらの無機質な席は様子は向こうの席に線対称に配置されてるので、こちらの席に座ると向こうの席に座った亡霊が現れるのですね。

シンプルな仕組みですが、こうやってちゃんと作るってあると面白いです。

建物

この展覧会のポスターにもなっている写真が飾られていました。
建物の壁に人がへばりついていたり、窓枠にしがみついてぶら下がっていたりしています。

これはどういうことでしょうか。

実際にこれが体験できる展示物がありました。

建物の側面に見えていたものは実は水平方向に広がったものだったんですね。

そこに寝そべっている人が、斜め45度に傾いた大きな鏡に映し出されて、壁にへばりついているように見えるのです。

これ、一番のインスタ映えスポットですかね。

試着室

個人的に一番おもしろかったのがこれ。

一見何の変哲もない試着室です。
中に入ってみましょう。

横を向いてみると、合わせ鏡の無限に続く世界です。

……と思いきや、なにかおかしいぞ。
だいぶ先の鏡にしかぼくが映っていません。

枠はあるけど鏡のないところがあるみたいですね。

ということで、枠をくぐってみると鏡の張ってあるところと張っていないところがあって迷路のようになっていました。
鏡があるところとないところが混ざっているだけで、めちゃくちゃ混乱してきます。

念のため鏡にごっつんこしないように手で探りながら進みます。

まずいです。前も後も試着室。

試着室の迷路に迷い込んでどれほどの時間が経過したのでしょうか。
ぼくは生きて帰れないのではないかという焦燥感いっぱいです。

食料も底をつきました(おそらく食べ物の持込みは禁止でしょうし)。

半べそをかきながら必死に出口を探し、やっとの思いで脱出することができました。

九死に一生を得て、この生のありがたみを知りました。

スイミング・プール

金沢21世紀美術館の展示物である「スイミング・プール」の写真とその模型の展示がありました。

上からプールを覗き込むと水で満たされたプールの中に服を着たままの人が沈んでいるように見えます。

しかし、実際には水は強化ガラスの上に10センチ程度貼られているだけで、沈んでいるように見える人は、その下の水色に塗られた地下空間にいるだけです。

これもシンプルなトリックなのにおもしろいです。

以上、展示物の一部を紹介してみました。

今回の展示物で、感じたことは普段日常的に行っている「見る」という行為は、これまでの日常的な経験にだいぶ支配されているということ。
目を使って見ているつもりでも、「ちゃんと」見れていないということ。
枠があって、こちら側とあちら側にそっくりな空間があると、すなわち鏡があると思ってしまう。
ちょっとしたトリック、シンプルなトリックでも簡単に騙されてしまいます。

そして、そのシンプルなトリックはシンプルさ故に感動するところがあります。

大変おもしろい経験のできる展覧会です。

あなたもぜひ森美術館の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」に足を運んでみて下さい。

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